「財務省の貿易統計では、20万円以下の『少額貨物』は含まれない。今、拡大しているのは個人輸入や手荷物で持ち込まれる貨物です」(同前)
インターネットを通じて海外の業者から商品を買う「越境EC(電子商取引)」や「個人間取引」で、中国からモノを買う機会も増加している。こうした個人間取引でやり取りされる商品は統計にも表われず、検疫を通ることもない。日本の物流企業の上海駐在員が言う。
「越境ECは多くの場合で小口輸送なので、他の積み荷とともに一つのコンテナに混載されて送られる。その中で別の積み荷に付いていた虫が、他の荷物に移動する可能性はあるでしょう」
政府は港湾での駆除など対策を進めているが、害虫の侵入は止められていない。検疫に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授は、流入対策の難しさをこう話す。
「中国からの出荷時に、コンテナに殺虫剤やベイト剤(毒餌)を設置すれば、日本に来るときには害虫は死滅する。しかし、混載便ではコンテナに複数の荷主が存在し全員の了解を取りにくい。さらに費用負担も問題になっています」
ヒアリの侵入防止については、環境省は中国側にも対策を求めているが、現在のところ動きはないという。日本の消費を中国製品が支えているのは事実だが、こんな“オマケ”は勘弁してほしい。
※週刊ポスト2018年6月1日号