開業医の北野國空氏(外科)は、技術の面でもベテラン医師に一日の長があるという。

「膵臓がんの開腹手術では、膵臓を半分切除したあとに、残った部分を小腸や十二指腸と縫合します。この手術は極めて難易度が高く、縫合不全が生じると膵臓から酵素が漏れて死に至るケースもある。経験豊富なベテラン医師のほうが成功率は高いといえます」

 つまり、外科は経験がものをいう世界であり、それが津川氏の「外科医は高齢のほうがいい」という研究結果につながっている。

 もっとも、ただ年齢を重ねていればいいというわけではなさそうだ。きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師はこういう。

「たしかに外科は経験がものを言いますが、それは昔たくさんやった医師ではなく、今たくさんやっている医師が年齢に関係なく優れている。今現在、どれだけ手術をしているかが重要です」

※週刊ポスト2018年6月1日号

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