オバ:下の、たばこをくわえて走っている運動会の写真は、今見るとギョッとする。くわえたばこに、吊るされた蚊取り線香の火をつける徒競走なんですね。
齋藤さん:考えられない(笑い)。でもあの頃は、大人の男はたばこを吸うものと決まっていたかのように、映画館も学校の職員室も煙もうもう。吸わない人は「男のくせに吸えないのか」なんて言われていたもの。
オバ:私が齋藤さんの写真から感じるのは、圧倒的な生活感。そのせいか、大人も子供も信頼に足りる顔をしていて、人はこうありたいと背筋が伸びます。
◆『三丁目写真館』展は、小学館本社ビル1Fギャラリーで、5月末まで開催中(東京都千代田区一ツ橋2-3-1)。また、6月1~7日は、齋藤利江写真展『三丁目写真館~昭和30年代の人・物・暮らし~』がa´ギャラリー・アートグラフで開催予定(東京都中央区銀座2-9-14の1F写真弘社内)。
【Profile】齋藤利江さん(78才)/群馬県生まれ。14才で写真コンクールの最優秀賞を皮切りに10代で多くの賞を受賞。21才で結婚し、『カメラのアサヒ堂』を開業。二女に恵まれた。55才で離婚。60才で10代のネガを発見し、発表すると評判に。今年、写文集『三丁目写真館~昭和30年代の人・物・暮らし~』(小学館)を発行。
※女性セブン2018年6月7日号