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あるようでなかった“口紅と紅筆”一体型商品の開発秘話

本体のダイヤルを回転させてルージュをオンにする『紅筆リキッドルージュ』(1188円)

 口紅と紅筆を別々に持ち歩くのは煩雑。でも口紅は紅筆でしっかりと輪郭を取りたい…。そんな大人世代の女性の悩みに応えるのが、『紅筆リキッドルージュ』(1188円/各1.9g、全8色/伊勢半)だ。今まであるようでなかった、口紅と紅筆の一体型商品の開発&ヒットの物語に迫る。

 年齡を重ねるにつれ、肌のくすみが目立ちはじめ、唇の輪郭がぼやけてしまうという悩みを持っている女性は多い。伊勢半の『キスミー フェルム』は、50~60代の大人の女性をメインターゲットとしているブランドだが、2017年3月に発売された『紅筆リキッドルージュ』も、大人の女性の悩みに寄り添った口紅として人気を集めている。

 この商品が画期的なのは、その名の通り、紅筆とリキッドルージュを一体化させた点だ。開発のきっかけは、伊勢半の大人世代女性の悩みに応えるメイクブランド『キスミー フェルムシリーズ』開発メンバーの母親が、紅筆に口紅をたっぷり含ませて持ち歩いているのを目にしたことからだという。

 そこで、伊勢半は社内外の1万人に向けて調査を実施。「口紅を塗るときに紅筆を使用しますか?」という問いに対し、「使用する」と答えた人が50代で75%、60代で81%にものぼることがわかった。大人世代の女性は、紅筆を使っているが、持ち歩きは面倒。それを解消できる商品なら多くの需要が見込まれる、と開発がスタートした。

『紅筆リキッドルージュ』は、コシのある紅筆が装着された容器に入っているルージュを、ダイヤル式にカチカチと繰り出して使う仕様になっている。リキッドというとナチュラルでサラッとしたイメージがあるが、“口紅”の特徴であるコクのあるテクスチャにこだわった。

 開発において苦労したのは、スティック口紅に近い硬めのテクスチャのルージュを容器からスムーズに繰り出せるようにすること。また、筆が柔らかすぎるとダマができて輪郭に液体が溜まってしまうし、硬すぎても塗布しにくくなってしまう。そこで、筆のコシについても微調整を重ねた。

 発売後は、CMをきっかけに商品の認知度が上がり、4か月後には、コスメの口コミサイトでリップライナー部門の1位を獲得。60代の販売個数においては、TOP5を独占する人気商品となった。

 そして、伊勢半では、日本全国のショッピングモールやイベント会場を行脚し、体験イベントを展開。『きれい応援プロジェクト』と称し、プロのメイクアップアーティストが紅筆ルージュを使ってメイクを施し、カメラマンがメイク完成後の姿を撮影してくれる。撮影した写真はプリントし、自宅まで送付してもらえるというサービス付きだ。

 イベントを体験した人の中には、次回のイベントにも訪れ、色味の相談をし、購入するリピーターになった人も多くいるという。ユーザーのリアルな体験を通して、『紅筆リキッドルージュ』ファンを増やしている。

※女性セブン2018年6月7日号

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