国内

懲りないトンデモ動画配信者をどう規制していくべきなのか

子供も簡単に動画を視聴、配信できる世の中になった

 子供が将来なりたい職業の上位ランキングに「ユーチューバー」が入るようになって、数年経つ。動画配信は知名度も高まり収入も得られると、有名人も続々と配信デビューをする状況がまだ続く一方で、注目を集めるために非常識な、ときには違法な行動をして逮捕される人も続出している。ライターの宮添優氏が、懲りないトンデモ配信者たちについてレポートする。

 * * *
“ユーチューバー”という存在が市民権を得て久しい。子供に人気が高いユーチューバーのひとりHIKAKINは、動画配信だけで何億円も稼ぎだしていると言われ、ゴールデンタイムのバラエティ番組にも出演するほどの人気者だ。海外にもこうした大物配信者が多く誕生しており、その辺の芸能人やモデルよりも、膨大な収入を手にし大きな影響力を持つようになった。

 かつては“芸能界に憧れる”人々が大勢いたのと同様に、動画配信セレブを目標にする「夢見る」人々が多く存在するが、動画配信をする人のなかには目立ちたいだけ、もしくは激しい反響をもらっているから自身を人気者だと勘違いしているという配信者も続々と誕生している。ひどい場合は、みずから犯罪行為を実行した様子を配信するなどして検挙されるといった例も散見される。

 先日、動画の配信中に酔って女性を殴ったとして逮捕された三十代の男は、以前からネット界隈でも「厄介者」として有名だった。ところが、ネットウォッチャー・ユカさん(23)によれば、あの程度はまだマシなほうなのだという。

「今回逮捕された男は、以前も無免許運転をしたり、交番に無断で立ち入っているところを動画で配信し逮捕されていました。お調子者というか、極度の目立ちたがり屋ですが、まだかわいいほう。とある動画の配信サイトでは、未成年の子が飲酒や喫煙をしながら配信したり、脱いだり暴れたりとひどいものです」(ユカさん)

 ユカさんが見せてくれたのは、まだ幼い顔立ちの、未成年らしき人物が配信した映像の録画だ。

「自称19歳の配信者の男性が、18歳を自称する女性と酒を飲みながら動画を配信していました。配信を見ていたユーザーから煽られて、キスをしたり下着姿になっていました……」

 二人の配信者はその後もアルコール度数の強い酒をガブガブ飲み続けると、ついには全裸になり、そして女性のカラダを、男性が氷でまさぐり始めた。

「配信を見ていたユーザーは大盛り上がり。ほとんどの場合、こうした下劣な配信は運営側によってBAN(配信の強制停止)されますが、運営者によっては緩いところもあり、そのまま垂れ流されます」

 中には「児童ポルノ」に該当するような映像を配信する輩もいる。明らかな違法行為だが、視聴者の非難を浴びて配信を続けられなくなるのかというと、現実には逆の現象が起きている。そういった配信者には一定数のファン層が形成され、ファンが配信者に金銭的な援助を行ったりして、配信者の過激さが助長される場合も少なくないのだという。

「若い女性の配信者が、ユーザーに“裸になったらお金をあげる”などとそそのかされて、実際に脱いでしまうことがある。動画はユーザーらによって保存され、アダルトサイトに転載されたり、違法なDVD製品となって販売されるのです。でもそんな危険性を、配信者は知らないのでしょう。知っていてもお金になるならと目をつむる」

 筆者がある配信サイトで確認した映像では、ホスト風の男性二人が酔っ払い、同じく酔っぱらった女性にキスを迫るなど、おぞましいシーンの連発だった。配信サービス提供会社の規約に違反した内容だと思うのだが、配信がBANされることはなく、映像を見たユーザーらによる「すごい」「もっとやれ」などのコメントが次々に流れている。

「過激な配信者は、過激なことをやればやるほどファンが付くことを知っているし、それで逮捕や検挙されたところで、また同じことをやって注目を集めればよいと考えています。実際に、ユーザーからの援助や、広告などでそれが“カネ”になるし、逮捕されることも“宣伝”くらいに考えている人間もいる。好かれる必要はなく、嫌われようが目立つことさえできればよいのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン