ライフ

電動歯ブラシ 正しく使えば「誤嚥性肺炎」の予防効果も

電動歯ブラシは手磨きより5倍速い

 日本の成人のうち約8割が患っているという調査もある歯周病。厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」(平成26年)によると、「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は331万5,000人で、前回調査より65万人以上増加していることがわかった。調査のたびに増えていると報告される歯周病だが、たかが歯の病気と侮ってはならない。命に関わる疾患に繋がることもあるのだ。

 歯を支える歯ぐきや骨が壊れてゆく病気である歯周病には、様々な要因が考えられる。なかでも大きく影響するのが、口中の衛生状態だ。悪化すると口中の常在菌が悪玉菌となり歯周病菌を発生させ、それによって重大疾患を引き起こすこともある。フィリップス・ジャパンの歯科衛生士・上村泰子さんが、その危険性を指摘する。

歯周病は心疾患、糖尿病、骨粗しょう症、メタボリックシンドロームなど様々な病気に影響を与えます。気管に入った唾液中の細菌などが肺に感染して起こる誤嚥性肺炎は、高齢者の死亡率を高めていますが、高齢者に口腔ケアを行い歯周病原性細菌が減少すると、肺炎の発症率が下がることが報告されています。予防のための正しい歯磨きができているか、また歯周病になっていないかを歯科医院で定期的にチェックしてもらうことをおすすめします」

 全身の健康を守るためにも大切な口腔ケア。その第一歩として、正しい歯磨きの重要性はこれまでも繰り返し訴えられてきた。この場合の「正しい」とは、どんな歯磨きのことをいうのか?

「毎日のセルフケアで、歯面についたプラーク(歯垢)をしっかり取り除くことが大切です。実際、初期の歯周病(歯肉炎)はプラークコントロールで改善することができます。とはいえ、お口の状態は千差万別なので、必ずその方に合った歯磨き方法があります。一般的には、磨きやすい場所ばかり磨く傾向にありますが、全ての歯、全ての面にブラシの毛先が当たらなければプラークを除去できません。また、歯と歯の間にはなかなか歯ブラシの毛先が届きにくく汚れが残りがちですので、フロスや歯間ブラシなどの併用をお勧めします。一度、歯科医院できちんと磨けているかチェックしてもらいましょう」(前出・上村さん)

 全ての歯とその歯面にブラシを当てねばならないと聞くと、毎日おこなう歯磨きが、とてつもない重労働のように感じられる。疲れて帰宅した日の夜などは、とても十分な歯磨きができるとは思えない。そんなときに、時間なら5分の1程度の労力で済ませられるのが電動歯ブラシだ。

「歯磨きとは毛先を色々な角度から歯に当てて、小刻みな振動を行うことですが、手磨きでそれをしようとすると意外に難しく、ついつい大きく動かしたり、強く押しつけたりしがちです。でも、電動歯ブラシなら歯や歯ぐきの境目に優しく当てるだけ、添えるだけでブラシが勝手に揺れてくれます。また、プラークは粘着性が高く1箇所につきブラシの毛先が20回程度、当たらなければ除去できないと言われています。20回の振動を与えるのに、手磨きは約5秒かかりますが、電動歯ブラシなら1秒かかりません」(前出・上村さん)

 電動歯ブラシなら短時間で歯磨きを終わらせることができるうえ、力加減などの難しい調節も簡単だ。酔っ払って深夜帰宅となっても、たとえば電動歯ブラシを初めて使う人向けのエントリーモデル、フィリップス「ソニッケアー クリーンケアー」シリーズなら、毎分約31,000回の高速振動と、幅広い振幅で音波水流を発生させて、ぼんやりしたままでも歯磨きができる。この歯磨きのあとには、舌の先で歯を触ったときにつるつるになるので、汚れがとれた実感が得やすい。

 もちろん、電動歯ブラシであっても正しくブラシの毛先が当たらなければ意味がないので、歯科医院できちんと磨けているのかチェックしてもらいたい。だが、チェックされた通りに自宅でちゃんと歯磨きができているか不安な人もいるだろう。その場合、フィリップス「ソニッケアー ダイヤモンドクリーンスマート」なら、Bluetoothで専用スマホアプリと連動させて、磨き方をチェックして、ブラッシングが不足している箇所を知ることができる。さらに、同モデルはブラシが歯に触れる表面積が大きくなったため、手磨きの最大10倍の歯垢除去力がある。

 歯が多く残っている人は、歯が少ない人また義歯を入れていない人と比較して、その後に認知症発症や転倒する危険性が低いという研究結果もある。正しい歯磨きを基本としたマウスマネジメントの積み重ねは、今日明日の健康だけでなく、将来の健康寿命のためにも重要だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン