「喫煙は、歯周病の最大リスクファクターとして強い関連性が示されており、喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍、歯周病に罹患しやすい。喫煙者の歯周治療には、禁煙が必須であることを十分に説明する」
タバコのニコチンには、免疫機能や細胞の働きを阻害する作用があり、歯周病を悪化させる要因であることが明確なのだ。
いま、歯周病治療として、抗生物質を長期的に投与する方法が行なわれるようになった。これについて、口腔内細菌の権威・奥田克爾氏(東京歯科大学・名誉教授)は警鐘を鳴らす。
「歯周病は感染症ですから、抗生物質は一時的に効きますが、中長期的に使用すると腸内細菌フローラを撹乱して、ディスバイオーシス(※注)を起こします。歯周病のような慢性感染症に抗生物質を長期間投与すべきではありません」
【※注/「腸内微生物相のバランス異常」を表わす。免疫機能の破綻、肥満、糖尿病などの原因となる】
また、抗生物質の長期投与は、“薬剤耐性菌”を生み出す。感染症になった際、薬が効かなく、命の危険に晒される可能性もあるのだ。
抗生物質の投与は、基本的に“3日間”。これより長い場合は、治療に問題があると考えたほうがいいと、奥田氏は指摘する。
※週刊ポスト2018年6月22日号