◆「冷たい血が流れる鬼」
澁谷被告は6月14日の被告人質問で、事件への見解を問われ、こう言い放った。
「通学路で起きたことは親の責任。一緒に登校すればよかったのに、(リンちゃんを)1人で行かせて事件にあった。守ってほしかった」
澁谷被告が所有するキャンピングカーからは、金属製のSM用手足錠、バイブレーターなどアダルトグッズが10点以上も押収され、その一部からリンちゃんのDNA型が検出されている。リンちゃんの遺体からは澁谷被告の唾液とDNA型も検出された。それらの証拠をもとに、検察は6月18日の論告で死刑を求刑した。
〈今日までリンちゃんや私たち家族に対する謝罪の言葉は一つもありません。それは人間のなせる行動ではありません。人を殺めても反省する気持ちを知らない犯人は、凍るように冷たい血が流れている鬼であるとしか言えません。人間でない以上、人間の世界に存在することは許されません〉
ハオさんがこれほど強い言葉を使う背景には、公判中、澁谷被告の口から真実がついぞ語られなかったことへの無念の思いがある。
〈リンちゃんは、とても残酷な姿で発見されましたが、どうしてそのような目に遭い、殺されたのか分かりませんでした。私の娘の体に何がされたのか。被告人の親族にもこのことはきちんと伝えておきたいです。しかし、リンちゃんを殺した犯人が誰だか分かった以上、その犯人は死刑に処せられるべきであり、命をもってリンちゃんに償うべきです。
被告にも子供や親族がいることでしょう。ですが、被告はリンちゃんに残虐かつ非道で、おぞましい暴行と殺害をした以上、死刑を宣告され、命によって罪を贖うことは当然のことだと知るべきです。私がこう申し上げるのは、私が悪人だからではありません。被告が死刑になるのは、被告が自ら起こしたこと、行なった罪悪に対する報いだからです。死刑に処せられることで、私はすべての憎しみや恨みを終わりにさせたいのです〉
一審判決は7月6日午後に言い渡される。
※週刊ポスト2018年7月6日号