被告に対する怒りを顕わにする一方で、ハオさんは自身の無力感にさいなまれ、悔恨の念にかられていた。
〈リンちゃんを守ることができませんでした。このことを私はとても恥ずかしく、情けなく思っています。リンちゃんが日本を初めて訪れた時、私は「お父さんのそばにいれば何も怖がることはないからね」と言っていました。でも、私は娘を守ることができませんでした。リンちゃんが暴行され、殺されるまで、私はリンちゃんがどこにいたのかすらわかりませんでした〉
◆「殺すぞ」の脅迫電話
公判で証言したように、ハオさんは息子のトゥ君に、リンちゃんが亡くなったことを知らせていない。
〈トゥ君がお姉ちゃんの写真を手に持ち、お姉ちゃんといつも観ていたテレビ番組を観ています。パンを食べながら息子は、お姉ちゃんの写真に向かって「お姉ちゃんパン食べて」、「お姉ちゃんテレビ観て」と言っているのです。私はその様子をビデオに収め、ユーチューブにアップしています。ある時、トゥ君は「リンお姉ちゃんは殺されたの?」と聞いてきたのです〉
事件発生以来、ハオさんは公判を待つだけの状況に耐えきれず、極刑を求める署名活動をインターネット上で開始した。今年1月下旬には千葉県柏市で、2月には東京の上野公園、千葉駅でそれぞれ街頭に立って道行く人々に呼び掛けた。