そんな視線を浴びても“素人カメラマン”は撮影を止めない。地震直後に撮影した動画をフェイスブックにアップした40代男性がいう。
「会社に向かっている途中、乗っていた電車が地震で急停車しました。それから20分ほどして、『希望者は電車を降りて線路の上を歩き、ひとつ前の駅に戻ってください』とのアナウンスがあった。線路に降りて歩くなんて初体験なので、スマホで動画を撮ってアップしたんです。ワクワクしたなぁ。アップした後、友人からの反響も凄くて、気持ち良かった」
衝撃的な動画や画像には、日本だけでなく、海外のメディアからもオファーがあるという。現場に駆けつけた記者がそうした動画や画像を自分のスマホに送ってくれるよう頼むこともあるようだ。
「基本的に謝礼を払うことはありませんが、記者個人の判断でギフトカードなどを渡すケースもあるようです」(前出・キー局社員)
今回の地震では、ツイッターなどの情報をもとに現地にメディアが殺到することもあった。
「テレビ局の記者がワゴンに乗って現われたと思ったら、スマホの動画を見せてきて『この場所に案内してほしい』っていうんです。こっちはガスが止まって飯もろくに食えないのに……」(雑貨店店主)
被災者が被災者を撮影し、マスコミがそれに群がる。奇妙な光景がそこには広がっていた。
※週刊ポスト2018年7月6日号