尾車親方は八角理事長(元横綱・北勝海)に次ぐ協会ナンバー2だが、ここにきて協会執行部の中で存在感を増しているのが、栃ノ心の師匠である春日野親方(元関脇・栃乃和歌)だ。広報部長として昨年末からの“貴の乱”の対応にあたったことが評価され、3月末からは巡業部長に転じた。
「執行部の中ではこの先、二所ノ関一門の尾車親方と出羽海一門の春日野親方の主導権争いが起きるとみられている。尾車親方が“休場容認”の姿勢を見せたのは、稀勢の里が強行出場して、春日野部屋の栃ノ心にみすみす1勝を与えてやる必要はないと考えたからではないか。一門が祝儀を集める上で大切な日本人横綱が、“新たなスター”の台頭によって早々に引退に追い込まれては困る、という事情もあるでしょう」(同前)
栃ノ心は白鵬との対戦成績が1勝25敗、鶴竜とは2勝22敗。一方、同じ横綱でも稀勢の里とはこれまで9勝16敗でさほどの苦手意識はなかった。栃ノ心にとってみれば、稀勢の里が出場するかどうかで、勝負所の終盤戦の星勘定が変わってくる。それだけに、親方衆の間で様々な思惑が交錯したとみられているのだ。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号