「手術はがんを除去できるメリットがある半面、メスを入れることや全身麻酔などによる負担が大きい。術後の後遺症や合併症もあり、部位やステージ、それに年齢次第ではリスクがベネフィットを上回る。末期の場合は別として、進行が遅く、命にかかわらないケースが多い前立腺がんなどは典型的ですが、年齢が増すほど『あえて手術しない』という選択肢を検討することが重要になってきます」
一方で、肺、胃、大腸の3大がんは50歳以上の全世代で「手術あり」が「手術なし」の5年生存率を上回った。もちろん、これらのがんであっても「リスクのない手術」は存在しない。ただ、“高齢者はがん手術をやってはいけない”という乱暴な健康情報が氾濫する中で、「患者の既往症などを踏まえて『切れる』状況であれば、手術が第一選択となることは知っておいてほしい」(前出・富家氏)という指摘も重要だろう。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号