国内

大前研一氏提案 「カジノよりよほど有力な成長戦略」とは

シンガポールのカジノリゾートを視察する安倍首相(2014年。共同通信社)

 長らく議論が重ねられてきた“民営ギャンブル”がいよいよ動き出しそうだ。カジノを含む「IR(統合型リゾート)実施法案」が衆議院で可決。安倍晋三首相は、IRを成長戦略の一つと位置付けているが、「経済効果7兆円」というのは本当なのか? 大前研一氏が解説する。

 * * *
 日本では20年くらい前からカジノ誘致が何度も話題になってきた。たとえば、阪神・淡路大震災の被災地をカジノ特区にしようとか、沖縄で米軍基地のトラブルが起きるたびに観光振興を名目にした“懐柔策”としてカジノを作ってはどうかという話が出ていた。しかし、パチンコ利権との絡みなどがあって、ことごとく頓挫してきた。

 それでも訪日外国人客数が1000万人に満たない2012年までなら、カジノ誘致は意味があったかもしれない。だが、2017年の訪日外国人客数は2869万人に達し、過去最高を更新した。2018年も4月までの累計が1052万人となり、これまでで最も速く1000万人を突破した。

 さらに政府は訪日外国人客数を東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に4000万人、2030年に6000万人に増やすという目標を掲げている。4000万人はイギリス、ドイツ、トルコを超え、6000万人はイタリアや中国と肩を並べることになる。だが、これらの国々は(中国のマカオを除き)カジノ目当てに外国人観光客が集まっているわけではない。

 放っておいても3000万人の外国人観光客がやって来るようになったら、カジノは全く必要ない。未だにカジノを新設している国は、それ以外に外国人観光客を呼び込む魅力がない東欧やバルト三国などが中心だ。

 ちなみに大和総研は横浜、大阪、北海道の3か所にそれぞれシンガポールと同規模のIRを建設して同程度の収益を上げると仮定した場合の経済効果を約7兆円と試算しているが、私はそれは「絵に描いた餅」であり、スポンサー付きの“忖度レポート”だと考える。

関連記事

トピックス

世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン