悪いことは悪いといい、ダメなものはダメとはっきり言う。ことスポーツに関しては一本筋が通っていて、その軸はぶれず潔ささえ感じさせる。熱く語る時は熱く、怒る時は顔色を変えて怒り、そしてよく笑うため、感情が伝わりやすい。礼儀正しく真面目なのだが、自由奔放でどこか抜けている。決してコメントが上手いわけでも、人に受けよう、笑わせようとしているわけでもなく自然体。だからこそ憎めない。長嶋茂雄さんの息子だと知っていれば、そうした言動も育ちの良さとしてプラスに捉えられる。そんな彼のキャラが、昨今のスポーツ界のあれこれによって際立ったのだと思う。

 それによって注目が集まり、出演回数が増えたわけだが、ブレイクした理由はここにもある。それは「ザイオンス効果」、日本では「単純接触効果」という名前で知られている。人は繰り返し見ている相手に対して慣れが出てくる。慣れてくると、よく目にする相手、よく顔を合わせる相手に対して魅力を感じ、好意を持つようになるという。これがザイオンス効果だ。さらに、何度もテレビで見たり聞いたりしているうちに、そのタレントのことをよく知っているように思えてきて、いつの間にか好感を持つのである。

 自身のブレイクについて聞かれたあるトーク番組では、出る理由も根拠もタレントとしての能力もなく、ブレイクも一過性のものだと発言。「たまたまそういう時に(業界に)入っただけ」と、本人はあくまで冷静なのだ。野球選手として期待と注目を一身に浴びながら、華々しい結果を出せずに転身した彼らしい冷めたコメントだ。

 奢りのない冷静な自己分析は、彼への好感度をさらに増すだろう。下半期の活躍にも注目だ。

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