国内

「異例の猛暑」が招く「異例の大雨」 浸水被害の危険性も

豪雨の後に襲った猛暑で倉敷市の畑は干上がった(写真/共同通信社)

 記録的な猛暑となっている今年の夏。暑さに苦しまされるのは昼間だけではない。太陽が沈んだあとも地獄のように寝苦しい「熱帯夜」が続くと予想する。気象予報会社「ウェザーマップ」会長で、気象予報士の森田正光さんはこう話す。

「一般のかたは最高気温に目を奪われがちですが、気象の専門家は最低気温の高さに注目します。最低気温が25℃以上の日を熱帯夜と呼びますが、近年では27℃オーバーが当たり前になり、今年は私が『地獄夜』と呼ぶ、熱中症の危険が迫る28℃以上の夜さえ珍しくなさそうです。

 毎年毎年、どんどん寝苦しくなると感じている人は多いと思いますが、その感覚はデータ上でも正しい。50年ほど前は25℃以上になる熱帯夜が数日あるかないかだったのに、近年では50日を超える年も出てきています」

 実際、2013年には東京の最低気温が30.4℃までしか下がらない“超熱帯夜”の記録も残っている。

 猛暑の恐ろしさは高温そのものだけではない。さまざまな異常気象を引き起こす原因になるという。

「地表付近の気温が上がると、上空との温度差が大きくなり、上昇気流が発生し、積乱雲ができます。条件によってはスーパーセルと呼ばれる超巨大積乱雲を形成し、豪雨を降らせて洪水を引き起こしたり、ひょう、竜巻などの原因になったりすることもあります。

 猛暑で干ばつとなった次に、必ず訪れるのは大雨です。熱されすぎた地表を冷やすために雨が降る。自然界は見事にバランスを取るようにできているのですが、今年のように“異例の猛暑”になれば、それだけ“異例の大雨”が降る可能性が高まるということです」(前出・森田さん)

 死者220人以上を出した7月上旬の西日本豪雨。それも今の猛暑と関連するという。

「太平洋からの湿った空気が、本州付近に停滞していた梅雨前線に大量に供給されたことで、『線状降水帯』というものが形成され、大規模な豪雨に結びつきました。湿った空気を送り込んだのは、勢力拡大中だった太平洋高気圧です。その強い高気圧が今は列島を覆っていて猛暑の原因になっています。怖いのは、その勢力が少しでも弱まったとき。極端な豪雨になることが懸念されます」(前出・森田さん)

 今年同様に猛暑だった2013年は、7月末に島根県と山口県に大雨被害が、9月中旬には台風18号が列島を縦断し甚大な災害を引き起こしている。東京の住宅地でゲリラ豪雨が降り、善福寺川が氾濫、杉並区や武蔵野市で浸水被害が発生したのもこの年のことだ。

 今年もすでに各地で水害が相次いだが、さらなる洪水が起こるのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン