泌尿器科が専門の高橋悟医師(日本大学医学部教授)は、合計620万149円(22位)の謝礼を受け取った。その中には、新薬を医師に紹介するためのパンフレットの原稿を執筆した際の謝礼が含まれているという。
「2016年は、排尿障害の新薬が複数が発売された時期。その解説執筆や講演の依頼が多かったので謝礼が多額になったのではないでしょうか」(高橋教授)
大手製薬会社が加盟する日本製薬工業協会(製薬協)は講師謝礼についてこう見解を述べる。
「専門家の講演は地域医療への貢献にもなる。それに対して、国家公務員倫理規程に準じた額をお支払いしている」
◆キー・オピニオン・リーダー
多くの医師は製薬会社からの謝礼について「正当な対価」と口をそろえるが、『医者はどうしてたくさん薬を出すのか』の著者で医師の米山公啓氏は、「バイアス」の問題を指摘する。
「製薬会社が主催や共催の講演会では主催者側の薬を批判するわけにはいかず、どうしても有利に喋ってしまう。その講演を聞く開業医は“あの教授が推す薬なら”と臨床現場で教授の推奨した新薬を使うことになりやすい。医師が完全に中立の立場で講演できれば結構ですが、他社の薬を評価したら主催者側の製薬会社からの講演依頼は来なくなる。謝礼先が学会の理事なら、その学会のガイドラインに記されるファーストチョイスの薬に影響する可能性もあります」