興味深いことに、今回のリストからは所属学会による金額の偏りが読み取れる。突出して高いのが日本内科学会で、22人の理事のうち21人が謝礼を受け取り、平均額は600万円を超えた。上位50位にも12人がランクインした。
日本泌尿器科学会も21人の理事などの全員が謝礼を受け取り、最高額は前出の横山教授だった。前出・尾崎医師の解説。
「指摘できるのは、両科とも薬との結びつきが強いことです。内科は抗糖尿病薬や降圧薬など処方頻度が高い薬剤や、関節リウマチに対しての生物学的製剤など高価な薬剤が処方されるため、製薬会社の医師に対する“売り込みモチベーション”が高いと考えられます。高齢男性が患う前立腺肥大も薬剤管理が基本です」
民間企業である製薬会社の立場からすれば、発言権と影響力を持つ教授の懐に入って新薬を売り込むことができれば、莫大な利益が期待できるわけだ。
「学会の理事らは、日本の医学界に強い影響力を持ち、業界用語で『キー・オピニオン・リーダー』と呼ばれます。製薬会社は自ら露骨な宣伝活動はできないが、キー・オピニオン・リーダーに講演会などで自社の薬の使用経験やエビデンスを語ってもらうと結果的に薬の宣伝になる。つまり、製薬会社からお金をもらった医師が『処方権』を用いて、臨床現場にその薬を使うよう誘導することが可能な構図になっている」(尾崎医師)