最高額は、リウマチ、膠原病などを専門とする田中良哉医師(産業医科大学教授)で、127回の案件で1917万9469円を受け取っていた。謝礼は何の「対価」か。田中教授はこう答えた。
「127件のうち約50件が講演で、その半数は学会と製薬会社が共同で行なった講演でした。例えば2016年4月に横浜で行なわれた第60回日本リウマチ学会では、日本化薬との共催で医療従事者向けに『関節リウマチの新しい治療について』などの講演を行ないました。約50件の講演以外は、座長として会の趣旨説明や質疑応答の司会などを行なったことへの『座長謝礼』です。こうした講演、座長などの依頼は多くの企業から受けており、特定の製薬会社のために行なってはいない。勤務時間外の準備に時間を要しており、謝礼は正当な労働対価と考えます」
謝礼額2位の1673万7196円を受け取った埼玉医科大学消化器肝臓内科の持田智教授も「収入のほとんどは講演料です」と説明した。
「2016年はC型肝炎に有効な新薬が出始めた時期です。埼玉医科大は臨床研究が豊富で新薬の基礎研究に携わることなどから、新薬の有効性や副作用などを周知するため、医療従事者を対象とした講演やシンポジウムの司会などを約90回行ないました」
こうした講演会や市民講座は大学と製薬会社が共催で行なうケースが多い。