それと似たようなのが東京都の「時差Biz」だ。通勤ラッシュを回避するために通勤時間をずらす働き方改革の一つとして企業・団体などに推奨している。要するに働き方改革に名を借り、朝の通勤時間帯に「電車に乗るな、自家用車を使うな」という運動にすぎない。
結局、お上の都合によるキャンペーンに振り回されるのは個々の働く社員である。時差出勤で10時に出勤しても残業代のつかない退勤時間が1時間延びるだけで働く時間は変わらない。
本当に時短を目指すのであれば、会社の所定労働時間を1時間減らし、8時間から7時間にしてフレックスタイムにする。プレ金のように金曜日午後、月曜日の午前中休むことを奨励するのではあれば、週休3日とし、1日は社員が自由に選べるようにしてはどうか。
さらにオリンピック期間中の午前中は公務ということで裁判員裁判に社員が参加するときと同じように「特別休暇」を適用してはどうだろうか。
●文/溝上憲文(人事ジャーナリスト)