◆直接的な引き金になる脱水には要注意!
せん妄はどんなタイミングで起こりやすいのか。
「今の季節は特に、脱水に注意が必要です。発汗や発熱などで体は水分と電解質(塩分など)が奪われると電解質異常になり、脳の神経細胞の働きを妨げます。これがせん妄の引き金になるのです。また肺炎や膀胱炎(尿路感染症)などの病気も直接因子になりますが、高齢になると病気が進行しても発熱しないことがあります。脱水やこれらの病気が、せん妄が起こることで初めて発覚することもあるので、せん妄をしっかり見極める必要があります」
また環境の変化とストレスも大きな危険因子。入院してベッドで寝たきりになったとき、集中治療の後などに起こりやすいのはよく知られているので、“せん妄は病院で起きるもの”と思われがちだが、家庭など日常生活のどこでも発症するという。
「高齢者に多いのは、ショートステイの利用や旅行時。たとえ楽しい家族旅行であっても、いつもと違う環境に適応するためにはストレスが伴うのです。いつもと違うことをするとき、家族はここをしっかり理解しておくことが大切です」
また最近、問題視されている“薬ののみすぎ”にも注意が必要だ。
「高齢者によく処方される睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)、抗うつ剤、胃薬(H2ブロッカー)などにはせん妄の副作用があります。年を重ねるごとにせん妄のリスクは高まります。せん妄を予防する意味でも、主治医や薬剤師と相談をして、服用する薬を整理しましょう」
※女性セブン2018年8月23・30日号