「人との繋がりを大切に、日本の心を歌いたい」と語る

「吉岡治さんや阿久悠さんなど素敵な先生方に詞やメロディをもらってきたけれど、35周年を超えたあたりから皆さん天国へ旅立たれた。

 歌い手をずっとやってきて、表現者であってもシンガーソングライターではない自分はこの先どうしよう、もう歌う歌はないんじゃないかと、不安が押し寄せたんです。でも吉岡先生の奥様に『そんなことを言ってもパパの詞は2度と生まれないんだから、新しい出会いをしなくちゃ』と言われてハッとしました」

 石川は「今後は自分が学んだ歌の作り方や伝え方を次世代へ引き継ぐことが、おやくめなのではないか」と考え、そこからコラボアルバム『X-Cross-』シリーズなどを通じて、椎名林檎やコブクロの小渕健太郎など様々なアーティストと楽曲を制作。新譜は音楽プロデュース担当の亀田誠治が「色々な言葉を伝えようと熱意を持った若い世代を紹介したい」と、水野らとの縁を取り持った。

「『花が咲いている』は聴いた人にそっと寄り添う歌で、“絶対に大丈夫”とは言わないんだけど、『きっと大丈夫、みんな大丈夫』と温かく背中を押してくれるんです。自分もそういうふうに過ごしていけたらいいし、そう声をかけたい。これが日本人の心であり、言葉なのかなと沁みました。

 こうして歌を作るのも届けるのも、人との繋がりがあってこそ。この歳になってみて一生の中でどれほどの人たちと、どんな出会いが生まれるんだろうと考えるんです。そんな想いを大事にしながら歌ってみるのも面白いと感じています」

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