佐々木さんの言葉で、いいなあと思う言葉があった。
「曲がりまっ直ぐ、でこぼこ平ら、貧乏豊かな生活」
人生は、曲がっていたり、でこぼこしていたりしてもいい。風に乗って、はるか上空から俯瞰してみれば、何となくまっすぐで、平らに見える。そうした人生の振幅も含めて、豊かさの一部なのだ。
ガーデンの一角にはカフェがあった。コンテナを改造してつくったという素敵な空間だ。にこにこ顔の佐々木さんご夫妻が迎えてくれ、同行した人たちとともに、ぼくの70歳の誕生日を祝ってくれた。
ケーキにキャンドルを灯して、ハッピーバースデーの歌。ちょっぴり照れ臭くもあったが、懐かしいふるさとに帰ったような安心感に包まれた。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『人間の値打ち』『忖度バカ』。
※週刊ポスト2018年8月31日号