マクドナルドが一般的なFCチェーン同様、本部が上でFCが下という垂直モデルなのに対し、「モスは本部もFCも横並びで加盟店同士のつながりも深い水平モデルという違いがある」というのが中村社長の説明。一連のキャンペーンも、全国の加盟店のオーナーやパート、アルバイトを含むスタッフからアイデアを募集(今回は2651件。それをまず59件に絞り、さらに8件、最終的な商品化で2件とした)していることを強調していた。
要は、加盟店に関わる人たちを中心に、その地域ごとに携わる農業、漁業従事者、さらに各自治体とタッグを組みながら取り組んでいるのが、ほかのチェーンの類似キャンペーンとの違いというわけである。
かつては、価格が安くて作るのも早いが品質はイマイチと思われたマクドナルドに対し、少し高めで時間もかかるが丁寧で、契約栽培の野菜や国産素材使用で安心、というのがモスの最大の売りだった。
ところが、前述したように外資系高級バーガーが相次いで上陸し、安価なマクドナルドと高価な外資系チェーン、さらに高級素材や国産素材を使用するチェーンも増えて、その両者に挟まれる形でモスの強みが消費者に効きにくくなってしまったことは否めない。
モスには「モスクラシック」という単価1000円の高級バーガーを供する店舗もあるが、その1号店を出して以降、まだ2号店は出していない。
さらに定番強化ということで、改めて基幹商品の「モスバーガー」の強化にも取り組み、バンズも一新したものの大きな底上げまでには至らなかった。また、モスの店はフレンドリーでアットホームな雰囲気を大事にしてきたが、最近は外資系チェーンも含めて、都会的でお洒落な店構えのチェーンもかなり増えている。
そんな中、モスはこれからどこに活路を見出していくのか。地域密着キャンペーンは今回が4回目だが、「この手の商品はもう十数年前から出していて、『宮崎のチキン南蛮バーガー』は、私が営業部長の頃に出している」(中村社長)と語っていた。
確かに、全国展開でなく地域限定商品まで広げれば、これまで手がけたご当地バーガーのレシピはかなりの数に上り、ノウハウや知見も蓄積できているだろう。
地域密着の強化は手間暇やコストはかかるかもしれないが、その地域の農漁業者や自治体を巻き込み“ご当地のモス”を全面に出していければ、厳しいハンバーガー競争の環境下では差別化の大きな武器となるだろう。