現に、2016年の中国人留学生の出国者数は約54万人で、帰国者数は約43万人。かつてはアメリカなどの留学先にとどまる若者が多かったが、近年は帰国して祖国のために働く「ウミガメ派」が増加している。そういう人たちが一獲千金を目指して続々と起業しているのだ。
一方、古い中国は東北三省や四川省などが、アメリカのラストベルト(錆びついた工業地帯)と同様に新しい産業が生まれず、古い製造業が低迷してもがいている。たとえば、中国には鉄鋼メーカーが100社くらいあるが、国内需要が大幅に冷え込んで、もはやつぶすか統合するしかないという窮地に追い込まれている。しかし、その大半が国有会社や共産党の地方組織と癒着している会社なので、つぶすにつぶせないのである。これを整理・始末するのは非常に大変だと思う。
※SAPIO2018年9・10月号