ライフ

子供の学力 道徳論より「スマホ時間を限定」の方が効果あり

「学力」をつけるには「時間の管理」が大事

 毎年4月、全国の国公私立の小学6年生と中学3年生延べ200万人を対象に実施されてきた国語と算数・数学の一大テスト「全国学力・学習状況調査」(通称・全国学力テスト)。約50憶円の国費が投じられるビッグプロジェクトだが、その2017年度版の結果が7月末に公表された。

 2017年度のテストでは「保護者アンケート」も実施、こちらの結果から多くのことが読み取れるという。アンケートの対象は、テストを受けた小6と中3の保護者から無作為に抽出された12万人。「両親の学歴」「所得」「就業時間」といった家庭環境や経済状況を尋ね、子供のテスト正答率との相関関係を調べている。

 小学生の学力を正答率の高い順にA層からD層まで4つに分類し、保護者の言動と子供の学力との関係をリサーチした結果、頭のいい子が育つ家庭で実践される “声かけ”が明らかになった。

「褒めて伸ばす教育」が叫ばれて久しいが、調査結果によれば「努力の大切さを伝える」「いじめはいけないことだと家庭で話す」「最後までやり抜くことの大切さを伝える」という項目は9割以上の保護者が実践するも、子供の学力に大きな差は見られなかった。

 一方、「テレビ・ビデオ・DVDを見たり、聞いたりする時間などのルールを決めている」「テレビゲームやスマホのゲームをする時間を限定している」という家庭ほど、子供の学力が高くなる傾向が顕著だった。“カリスマ国語講師”として多くの受験生を合格に導いてきた予備校講師の吉田裕子先生は、「小学生には時間の使い方を教えることが有効」と指摘する。

「『最後までやり抜く』『努力は大切』などの抽象的な道徳論は、自我が育っておらず判断力の未熟な小学生が聞いても具体的に何をしたらよいのかわかりにくいため、成果につながりづらい。それよりも、具体的な時間の使い方を教えてそれを習慣づけることが大切です」

 菅原脳神経外科クリニックの菅原道仁院長も「効果的なのは“声かけ”よりも時間の管理」だと言う。

「脳科学の視点から見ると、人間の“やる気”はいくら他人から声をかけられたとしても、自分で行動を起こさなければ絶対に出てこない。無理やりにでも手を動かし始めると、脳内から神経伝達物質のドーパミンが分泌されて、徐々に気持ちが乗ってきます。億劫だった掃除でもやり始めると熱中して、止まらなくなることを心理学用語で『作業興奮』といいますが、それと同じ原理です。だからスマホやゲームは、制限時間内で終わらせるというルールを作り、鉛筆を握らせて机に向かわせれば、最初は嫌々でも次第に熱中するはずです」

※女性セブン2018年9月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン