5位の嶋聡さんはかつて孫正義さんの参謀と呼ばれていた人。松下政経塾生として松下幸之助さんにも直接教えを受けています。2人の偉大な経営者に学んだ知識を講演会で披露します。同5位の門倉さん、8位の安部さんは企業向けの経営論が主なテーマです。
8位は気象予報士の“あまたつ”さん。天気は毎日の生活から切れないものなので、通年で人気があります。意外なニーズとしては、野外で長時間作業をする建設業界から、安全対策の講師として呼ばれることもあります」
ランキング外だが、土橋さんが印象的だったのは、盆栽師・平尾成志さんの講演だという。平尾さんは中高年の趣味という盆栽のイメージを吹き飛ばし、個性的なパフォーマンスで国内外に「BONSAI」を発信。2013年に文化庁文化交流使となり世界11か国を周った人だ。
「盆栽は“衰退産業”と言われますが、平尾さんは世界を回ってパフォーマンスをしたり、アートやファッションとコラボしています。まだ30代でありながら、自分なりのやり方で、盆栽業界に注目を集めた人です。ある自治体の管理職研修で、平尾さんの盆栽園で、ミニ盆栽を参加者で作りました。いつもデスクにいると、思考が凝り固まってしまうので、異文化に触れて発想を豊かにするのが目的です。2020年に東京オリンピックもありますし、日本文化をしっかり理解したいという需要も増えています」
芸能人の講師もいるが、必ずしもランキングで上位ではない。それには理由がある。
「芸能人は、昔は人気があったのですが、今はどういう話をしてくれるかをシビアに求められる時代です。ネットを使えば、講演会を主催しようという人も、事前にある程度自分で調べられます。ネームバリューがあるというだけで、誰でも言えるような話をされても、時間をかけて話を聞きに来た参加者は、納得しません。企業側にしても、高いお金を払って下手な人を呼んだら、社内から“なんでこんな人を呼んだんだ”と言われてしまいます。実のある情報を与えてくれる実績がある講師が求められているのです」