息子の八光とともに楽屋入り
「嫁は『男としては最低やけど、芸人の月亭八方は応援するわ』と言ってくれているんです。本当は『ありがとう』と感謝を伝えたいけど、恥ずかしいから言葉にできない。嫁が死ぬ直前に言って、『ええこと聞いた』と嫁が喜んでくれるのが理想です。私が先に死んだら言えませんから、ゆうたら嫁の“死に待ち”ですわ(笑い)」
この日、高座を下りた八方は満ち足りた笑顔を見せた。半世紀前の夢はここにある。
「職業『落語家』で人生を終えたいと願ってきたけど、この歳までやれたら大成功や。ここまで地面に踏ん張ってこられたのも、師匠の教えを守ったおかげ。いい芸人生活やったと思いますよ。今こうして、好きなことだけをやれているんやから」
●つきてい・はっぽう/1948年、大阪市生まれ。落語家。浪商高校卒業後、1968年12月、月亭可朝に入門。若手落語家ユニット「ザ・パンダ」の一員として活躍し、落語に取り組む一方で『ヤングおー!おー!』(毎日放送)をはじめテレビ・ラジオで活躍する。熱烈な阪神タイガースファン。芸能生活50周年を記念し『落語誘笑会』を開き、全国5か所を回る。今後の予定は兵庫・さよう情報文化センター(10月6日)、大阪・なんばグランド花月(10月26日)。12月中旬にはタイ・バンコクでの海外公演も予定。
■取材・文/戸田梨恵、撮影/平郡政宏
※週刊ポスト2018年10月5日号