原因とされているのが、非アルコール性脂肪肝炎=NASH(通称ナッシュ)。推定患者数は、100万人以上とみられている。川西医師によると、NASHの主な原因は、生活習慣病だという。
「NASHの2割が、10年ほどで肝硬変や肝臓がんに進行することが分かってきました。最近は、NASH由来の肝臓がんで死亡した人のほうが、B型肝炎から肝臓がんになり死亡した人の数を上回っています」
NASHによる肝臓がんの発症は、70歳前後に多い。発症を避けるには、食生活の改善が基本だと川西医師は言う。
「無理な糖質ダイエットは長続きしません。患者さんに勧めているのは、1日の食事のうち1回は、主食のでんぷん質(米やパンや麺)を、卵2個と交換する食事法。“ニコタマ療法”と名付けています。これに野菜たっぷりのスープを習慣化すると、3か月から半年で効果が出てくるはずです」
健康診断で肝機能異常や脂肪肝の疑いを指摘された場合、専門医の診断を受けてNASHの疑いがないかを確認する。肝臓がんの公的検診が存在しない以上、命を守る対策が必要だ。
●取材・文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2018年10月12・19日号