小澤:当時のトップモデルを起用して、アートとエンタテインメントの中間ぐらいのヌードを撮っていましたね。僕のように写真を目指す青年の憧れのページでした。あそこにこういうもの(1980年代のヌード写真集)の原型があるかもしれない。
亀和田:その後、1970年代、1980年代を経て1991年にヘアヌードが解禁され、時代を席巻します。ヘア解禁以前と以後ではどういう変化があったと思いますか。
小澤:ヌードになる、ヌードを撮るということの本質は変わらないけど、表現の仕方が変わったことは確かです。ヘアが出せなかった時代は手で隠す。ということは、手の使い方ひとつで色っぽくも、楚々とした感じにもできる。
つまり、隠すことによって表情が出る。でも、ヘアヌードでは股間に手を置けない。下手をすると、ただヘアを見せるだけの生体写真のようになりかねないんですね。ちなみに、アメリカのヌード写真はひたすら肉体美を強調したものが多いのですが、日本の特徴は情感で見せようとすることにあります。特に解禁以前はそうです。
亀和田:ヘアが見えていなくても、凄くエロティックな写真がありますよ。
伴田:ヘアヌード解禁以前は見せちゃいけないものがある前提で撮っていた。ヘア解禁を経て今はフェチの時代ですよね。撮影対象が広がった分、写真家は何を撮るのかを問われる。
◆モデルがアクメ顔になる