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2018.10.12 07:00  SAPIO

右も左も都合のよい天皇の発言は利用、気に入らぬ発言は無視

「松平(※慶民を指す)は平和に強い考えがあったと思うのに 親の心子知らずと思っている だから 私あれ以来参拝していない それが私の心だ」

 これが報道されたとき、おもに右の人たちから「信じられない」「このメモは偽造だ」といった否定的な反応が相次いだ。メモが遺品だったため、「なぜ死ぬ前に焼いておかなかったのだ」と富田を非難した人もいる。

 一方、A級戦犯の合祀や政治家の靖国参拝などに反対する左派の中には「昭和天皇もこう言っているではないか」と、持論の補強材料にした者もいた。

 右も左も、自分に都合のよい天皇の発言は利用し、気に入らない発言はなかったことにする。その点については、戦前も戦後もあまり変わっていない。

【PROFILE】秦郁彦●1932年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。現代史家として慰安婦強制連行説や南京事件20万人説などを調査により覆す。著作に『昭和天皇五つの決断』『慰安婦問題の決算』『実証史学への道』など。

●取材・構成/岡田仁志(フリーライター)

※SAPIO2018年9・10月号

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