報道部を撮影するクルー(「さよならテレビ」より)
番組では、東海テレビの局員が社会科見学で来ている子供たちに対して「報道の使命」として「権力を監視するのは私たちの役目」だと説明する場面がある。
その後のある日、ニュース番組で「共謀罪」を取り上げることになった。外部スタッフのベテラン記者は、メディアによって「共謀罪」か「テロ等準備罪」か、表現が異なる点に着目し、土方氏のカメラにこう語る。
「単純にいえば、共謀罪という言葉を使っていないメディアは批判する気がまったくない。権力を監視するよりも支える方を選んでいるっていうこと」
記者は国会での強行採決を報じるニュース原稿に、「共謀罪」と書き込むが、最終原稿では「テロ等準備罪」の文字に変わっていた。それを指差し「ここ直していただいて」といい、自嘲気味に笑う。
結局、その日のニュースでは、「テロ等準備罪」という言葉が読みあげられ、記者はやり切れない表情を見せた。社会科見学で語られた“報道の使命”の裏の実態を映し出した。
メディアの「働き方改革」もテーマとなった。視聴率が伸び悩む中、報道部長が「とにかく36協定(※注)を守るように」とアナウンスした。
【※注:36協定(さぶろくきょうてい)/労働基準法36条に基づき、会社が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を命じる場合、必要となる労使協定。労組などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。協定で定められる残業時間は上限規制がある】