東海テレビの土方宏史氏(共同通信社)
デスク陣からは「さすがに『残業を減らせ、数字(視聴率)はあげろ』というのは……」「何らかの補填をしないと、報道機関の役目はどこで担えるのか」などと非難囂々。それに対し報道部長は「(上から)『やれ』と言われた以上、サラリーマンなもんですから、従わないといけない」と呼びかけた。
元日本テレビ『NNNキュメント』ディレクターで上智大学新聞学科教授の水島宏明氏はこう話す。
「ジャーナリズムの仕事も組織でのサラリーマン的な側面がある中で自問自答しつつ、権力の監視役の役割を果たそうとする矛盾をよく描いていた。自社にカメラを向け、綺麗事にしなかった姿勢が評価できる」
◆“外部スタッフ”は仲間か
番組では、労働時間削減の問題とリンクする形で、制作会社から24歳の新人記者が派遣されてくる。番組内でキーマンとなっていくのだが、会話も不器用でヘマを繰り返し、上司から叱責されるシーンが続く。
そんなある日、彼は街中で取材した相手が「顔出しNG」であることの確認を怠り、結果として、企画のオンエアが見送られるという大失態を犯してしまう。失意の中、帰り道で土方氏のインタビューに応じ、次のように吐露した。
「“とりあえず成立させなきゃ”っていうプレッシャーもあった」
「僕は制作会社で契約(社員)っていう部分もあって、成長とか成果が見られないと、1年後、終わっちゃうんじゃないかって思っていて」