芸能

テレビ局が自社に密着 禁断番組『さよならテレビ』の中身

”撮る側”が”撮られる側”に(「さよならテレビ」より)

「カメラ回すのやめろっていってんだ! やめろって!」──テレビ局内の報道フロアに怒号が響く。地方局の東海テレビが「開局60周年記念」と銘打って制作したドキュメンタリー番組が、テレビ界を騒然とさせている。

『さよならテレビ』と題された90分番組は、9月2日に東海エリアでローカル放送された。ディレクターとして制作を取り仕切ったのは東海テレビの土方宏史(ひじかた・こうじ)氏。同氏は指定暴力団の構成員たちに密着し、その現実を克明に描いたドキュメンタリー『ヤクザと憲法』(2015年に東海テレビで放送後、映画化)を手がけたことで、脚光を浴びた人物である。

『さよならテレビ』は、土方氏が2016年11月から今年6月にかけて、自身の所属する「東海テレビ報道部」を取材対象にした番組だ。土方氏は企画意図をこう語る。

「メディアをドキュメンタリーの取材対象にしたいと考えている同業者はいるかもしれませんが、自分たちにとって不都合なことも流さなくてはならないから、他局は取り上げてこなかった。東海テレビのドキュメンタリーは“タブーなし”がモットー。社員がどうしても『組織の論理』を優先してしまうといった現実を見せたかった」

 取材する側から“される側”になったテレビマンたちは、戸惑いや苛立ちを隠さない。冒頭の怒号は、報道部のミーティングの様子を撮影する土方氏に対し、編集長が放った一言である。他のデスク陣も「気になってしょうがない」と不満や怒りをぶつけていく。

 そんななか、〈マイクは机に置かない〉〈デスク会は撮影許可を得る〉〈放送前に試写を行う〉などの取り決めをし、土方氏は粘り強く取材を続けていく。やがて様々な問題が徐々に浮き彫りとなっていく。

◆部長は“サラリーマン”か

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