今回、経団連が就活ルール廃止を打ち出したのは、至極当然のことである。私が知る限り、日本以外に「新卒一括採用」の就活ルールを決めている国はない。日本では2018年3月卒業の大学生の就職内定率が98.0%で過去最高となったが、リクルートワークス研究所の調査によると、アメリカ、中国、韓国、インドの場合、在学中に就職先が決定した大学生の割合は50%前後にすぎない。日本は世界でも例外なのである。
しかも、就活ルールはとっくに形骸化している。文部科学省の2018度「就職・採用活動に関する調査」によると、6月より前に選考活動を開始した企業は62.4%に上っている。実に6割以上の企業が「解禁破り」をしているのだ。解禁日前のインターンシップ(就業体験)を選考に使っている企業も多い。
また、すでにネスレ日本、ユニリーバ・ジャパン、ファーストリテイリング、リクルート、ソフトバンク、ヤフー、楽天、ディー・エヌ・エー(DeNA)などが就活ルールに関係なく「通年採用」を導入している。
リクルートキャリアの調査によると、2019年入社で通年採用を実施する予定と答えた企業は26.3%に達している。それらの企業と就活ルールを守る企業の両方で大学生が就活をするとなれば、大変な時間と労力が必要となる。
そもそも経団連が就活ルールを決めていたこと自体がおかしい。各企業の判断に委ねるべきであり、安倍首相が経団連にルールを守れと要求するのは筋違いも甚だしいのだ。
もし、どうしても就活ルールに固執するなら、経団連ではなく政府・文科省が決めて全企業を対象にし、違反したら罰則を科すべきである。そこまでやらないなら、就活ルールは無意味である。