さらに、安倍首相や大学側は就活ルールがなくなったら、就活が長期化して学業に専念できなくなると言うが、それもナンセンスだ。実際には、多くの大学生は3年間で卒業に必要な単位をほぼ取得してしまい、4年次は6月(あるいはそれ以前)に内定が出たら、夏休み以降は内定先の企業で「入社前研修」を受けたり、何度も卒業旅行をしたりするので、フルタイムで大学の講義を受けている4年生はほとんどいない。つまり、大学生が勉強するのは実質3年間になっているのだ。そういう現実を、安倍首相や大学側は知らないのだろうか。
もし本気で学業を重視した就活ルールを作るというのであれば、内定は「仮」にしておき、修了した時の成績を採用の最終条件にすればよい。たとえば、4年次に3年次までの成績を下回らず、出席日数も満たしたという“証明書”を卒業証書と一緒に提出したら、それで初めて内定通知書を有効にするのである。そこまでやらないなら、これまた就活ルールを作る意味はないし、大学生が学業に専念することもないだろう。
※週刊ポスト2018年月11月2日号