例えば、三越伊勢丹HDでも伊勢丹新宿本店は好調で、百貨店の中で単店舗としては不動の売上高日本一を誇っています。また他に目を転じれば、大阪・難波の高島屋大阪店、大阪・梅田の阪急百貨店うめだ本店、大阪・天王寺の近鉄百貨店あべのハルカス本店は、どれも好調で売上高が前年実績を上回っています。
先ごろ発表された今上期中間決算の数字を見ても、大丸松坂屋を展開するJ.フロント リテイリングや高島屋は好調だったといえます。
J.フロント リテイリングの2018年3~8月期連結業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比3.1%減の2272億円だったものの、百貨店事業の売上高はインバウンド需要と富裕層が牽引して1.8%増の1346億円と伸びました。営業利益を示す事業利益も同6.6%増の242億円でした。
高島屋も同様で、2018年3~8月期は、売上高に相当する営業収益が前年同期比1.9%増の4415億円と増収しており、主力の百貨店事業の営業収益は同1.8%増の3837億円と増収しています。国内はメンズ・ウィメンズともにアパレルは不調とのことですが、インバウンド需要の継続的な伸長や富裕層を中心とした底堅い消費に支えられ、高額品や雑貨が売れて増収となっています。
このように、今の百貨店ビジネスは、インバウンド需要と富裕層需要を取り込めている大型都心店によって支えられているといえます。
とはいえ、インバウンド頼みも常に安定的ではありません。事実、2015年秋ごろから年末にかけてインバウンド需要は軒並みトーンダウンし、三越銀座店もこのころは大苦戦を強いられていました。いま外国人観光客などの消費が旺盛でも、東京オリンピックを境にどうなるかは未知数といえるでしょう。
いずれにせよ、今後百貨店は東京や大阪など旗艦店を含めた大都市部の店舗しか生き残るのが難しいと言われています。三越伊勢丹HDでも伊勢丹新宿本店、三越日本橋店、三越銀座店の3店舗と各地方大都市の数店舗以外は大幅な売り上げ増は見込めません。大丸松坂屋、高島屋、そごう西武、阪急阪神など他の百貨店でも同じ状況にあるといえます。
では地方百貨店、郊外百貨店が生き残るためにはどうすれば良いのでしょうか。アパレル業界にいる人間がいうのもおかしいですが、百貨店は都心店・地方店を問わず、思い切って衣料品の扱い量を減らすべきだと思います。