国内

目黒女児虐待死事件、ステップファミリーや産後うつの問題も

東京・目黒5才女児虐待死事件の経緯

「もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」

 2018年3月、5才で亡くなった船戸結愛ちゃん(当時5才)は、ノートにそう書き残した。結愛ちゃんは今年1月下旬、目黒に引っ越してから充分に食事を与えられず、2月に暴行を受けても病院に連れて行かれず、3月2日に死亡した。肺炎による敗血症だった。

 死亡時の結愛ちゃんの体重は同年代の平均を8kg以上下回る12.2kg。朝食にスープ1杯、昼食はご飯を茶碗に3分の1、夜は茶碗半分程度しか与えられず、おむつをはかされていた。結愛ちゃんは極度なダイエットを強要され、お風呂では冷水を浴びさせられた。毎朝4時にひとり起床して、明かりもない寒い部屋の中で、ひらがなの練習を強いられる日々だった。

 結愛ちゃんの母・船戸優里被告(26才)と再婚相手で“父親”となった船戸雄大被告(33才)の間には2016年、長男(当時1才)が誕生し、一家4人で暮らしていたが、結愛ちゃんだけが別の寝室だった。

 6月6日、優里被告と雄大被告は保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。度重なる雄大被告の結愛ちゃんへの虐待を優里被告は「見て見ぬふりをしていた」という。

《本事例は、実母は若年出産を経験し、かつ本児の家庭はいわゆるステップファミリーである。虐待予防の観点で関係機関と連携して対応が成されていなかった》

 10月3日、厚労省の専門委員会がこの事件を検証し、まとめた報告書を作成した。報告書では、児童相談所の対応における問題点に加え、優里が若くして子供を産み、不安定な状態だったこと、また船戸一家がいわゆる“ステップファミリー”だったことも虐待につながったことも指摘されている。関西大学人間健康学部教授の山縣文治さんはこう警鐘を鳴らす。

「若年で子供を産んだ母親は経済的にも環境的にも周囲を頼りにくいうえ、連れ子には虐待のリスクもある。これらのケースがあてはまる子供には、特に注意して対応しなければならない」

 また、雄大が結愛ちゃんへの虐待を始めた時期が、優里の産後うつと重なったことが、優里が虐待を容認してしまった1つのきっかけだという指摘もある。近所で飲食店を営む女性はこう振り返る。

「以前までは、嬉しそうに話しかけてくる結愛ちゃんに笑顔で答えていたお母さんの目が、お腹が大きくなり始めてからだんだんうつろになっていったんです。赤ちゃんが生まれてからは身なりにもかまわなくなり、常に疲れた様子でした。もしかしたら、『産後うつ』という状態にあるのではないか、そのくらいつらそうに見えました」

 産後うつとは、出産後の女性が陥る「気分の落ち込み」「イライラ」「不眠」などの症状であり、10人に1人がかかるといわれている。

 精神科医の片田珠美さんが分析する。

関連記事

トピックス

メディア嫌いではなく、"特定のメディア"が苦手な大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平がフジテレビ取材陣を険しい表情で拒絶、元木大介氏の手招きに目も合わせず 新居報道以降も大谷の怒りを再燃させたフジテレビ 
女性セブン
碑文谷一家本部。熊谷正敏総長は現役暴力団員でありながら、カンヌ国際映画祭でレッドカーペットを歩いたことで有名だ
【暴力団VS闇バイト】「ウチの縄張りで強盗をしたら断固叩きのめす」有名ヤクザ組織が強盗団に“義憤文”を掲げていた 幹部が口にした“掲示の理由”
NEWSポストセブン
東京・渋谷区にある超名門・慶應義塾幼稚舎
《続報スクープ》慶應幼稚舎のお受験に巣くう“入学ブローカー”と教員のいびつな関係 有名IT企業社長の子供も斡旋か
女性セブン
田村瑠奈被告
【ススキノ事件公判】電気が流れるナイフに、赤と黒の革製の打具 殺害の3年前に田村瑠奈被告(30)が購入していたSMグッズの名前
NEWSポストセブン
加古川女児殺害事件から17年が経過した(時事通信フォト、2007年)
《未解決だった加古川小2女児殺害事件に動きが》「わずか1~2分の間にナイフで…」服役中の男(45)が関与か 手がかりは「少女のダイイングメッセージ」
NEWSポストセブン
芸能事務所所属を発表した元ウェザーニュースキャスター檜山沙耶(Instagramより)
《私生活はコスプレ好き》元ウェザーニュースキャスター檜山沙耶、「芸能事務所所属」を発表 「アニメの裏側」語る番組も人気
NEWSポストセブン
マイファス・Hiroと山本舞香の結婚は順調…?(Instagramより)
《気が強い同士?嫁姑関係は…》山本舞香にとって森昌子は「最高の姑」 「孫の面倒は見ない」“のれん分けタイプ”の姑なら結婚生活は順風満帆か
NEWSポストセブン
【山口組が抱える“空き家問題”】機関紙で明かされた「総本部」の栄枯盛衰 テニスコートにゴルフネット、食堂、警察犬もいたが、現在は5年の使用制限で「復元させないといけない」状況
【山口組が抱える“空き家問題”】機関紙で明かされた「総本部」の栄枯盛衰 テニスコートにゴルフネット、食堂、警察犬もいたが、現在は5年の使用制限で「復元させないといけない」状況
NEWSポストセブン
千葉真一さんのマネジメントを手がけていた事務所社長が急死していた
《自宅で遺体発見》千葉真一さん事務所社長が「急死」周囲に語っていた映画と千葉さんへの思い
NEWSポストセブン
井上晴美が語る、デビュー時から連続ドラマなどで活躍してきた思い出とは
《元『桜っ子クラブ』の井上晴美》人気絶頂の25歳でスキンヘッド写真集を決意した意外な理由「“髪の毛を剃ってないほうがよかった”という人もいましたが…」
NEWSポストセブン
あごひげを生やしワイルドな姿の大野智
《ワイルド姿キャッチ》嵐リーダー・大野智、宮古島で自由な生活を謳歌 左上腕や両肩に自らデザインしたタトゥー、過去には「クビになってもいいから墨を入れる」と話していたことも 
女性セブン
80年代のアイドル界を席巻した
小泉今日子、中森明菜、松本伊代、堀ちえみ…令和に輝き続ける「花の82年組」 ドラマや音楽活動、現代アーティストとしても活躍中
女性セブン