国内

暴力団関係者が明かすパスポート偽造の驚くべき手口

パスポート偽造の驚くべきからくり

 警察の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ある暴力団関係者が積水ハウスの地面師事件とパスポート偽造についてディープな情報を明かす。

 * * *
 積水ハウスが約55億円をだまし取られた地面師事件は、地上げをシノギとする暴力団でも首を傾げることが多いという。

「不動産なんて、ほんとに欲しい人は誰が持ち込もうと関係ない。ロクでもないブローカーが持ってきた案件でも、成立すればいいんです。でもね、確認や内見したといっても、あれだけ大手が一気に金を払うなんて考えられない。他にもいろいろ噂が流れていたのに、実際あの金額が動いている。それに去年、この事件が表沙汰になった時、積水はまだ所轄署に詐欺相談をしただけで、被害届は出していなかったと聞くしね。内部で何があったんだろうって思っちゃうわけですよ」

 暴力団幹部ですら、ズサンすぎると呆れるぐらいのこの事件。

「あそこは最初、違う地面師が扱ってたって話で、養子に入れて…というたくらみがあったと聞いてます。でも実際はなりすましが出てきた」

 なりすまし役の羽毛田正美容疑者が身分証明に使ったのはパスポートだ。運転免許証など持たない高齢者では、身分証明にパスポートを使うことも多い。羽毛田容疑者の逮捕容疑は、パスポートなどの偽造有印私文書行使など書類の偽造であり、55億円の詐取容疑ではない。

 パスポートについては精巧な偽造だと報道されているが?

「いや、あれは本物だと思いますよ。偽造された本物のパスポート」

“偽造された本物”とは…?

「パスポートの偽造は、戸籍謄本さえ取れれば簡単だからね」

 今は個人情報の問題で、戸籍謄本を簡単に取れなくなった。そのため偽の弁護士事務所の名刺を作って、謄本を取ろうとするケースや、本人の委任状を作り身分証明書と一緒に持っていくという手を使うこともあるという。

 実際のやり口はこうだ。

「なりすました者がパスポートを取るには、その人に合った年齢が条件。写真は規格通りであればOK。あとは申請する場所が問題。今回のように地主本人の本籍地が東京で、なりすましがパスポートを身分証明に使うなら、申請するのは東京じゃないとまずい。でも同じ区である必要はない。パスポートの本籍には“東京都”としか載らないからね」

 確かにパスポートの本籍地には、都道府県しか載っていない。今や運転免許証ですら本籍地は載っていない。

「戸籍謄本が取れれば、まずは勝手に他府県に本籍を移動する。東京なら神奈川に移転。次に神奈川から埼玉に移転する。その後に埼玉から東京の違う場所、本当の本籍地が港区なら新宿区でも足立区でもいいから移動。そして本籍地を移動したと同時に、住民票も移転」

 手間暇と時間をかけて、彼らが用意しているのがわかる。

 ところで、何度も移動してバレないものなのか?

「よっぽどのことがない限り、普通は住民票や戸籍謄本なんて取りにこない。だから勝手に移転されていても、それに気がつくことはないね。

 それで申請すれば、パスポートを取ることができる。パスポートセンターは申請した人の顔と顔写真が一致して、有効期限内の必要書類が出ていればいいわけで。その後で、手書きで必要な住所を書いておけばいい。その住所が本当に必要かといえば、みんなそこまで見ないんでね」

 移動した本籍と住民票はどうするのか?

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば\\\\\\\\\\\\\\\"安心\\\\\\\\\\\\\\\"だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン