機上でも絶口調の郭文貴氏

 だが、中国の大富豪たちには、富と成功を得た代償が存在する。それは彼らが(裏の)情報を知りすぎたことに加え、成功後も権力者の言いなりになり続けるかどうか、利益のパイの分配に不備がないのかといった問題で、権力側との摩擦が生まれてゆくことだ。

 例えば香港の(失踪した大富豪である)肖建華、(中国の不動産大手だが習政権下で大きな損害を被っているとされる)恒大集団や万達集団、そして海南集団(HNA)などは、いずれも近年大きな災難に遭っている。

 特にHNAの創業者で、王岐山をはじめとした盗国賊(売国奴)どもの金庫番だった王建が、今年7月にフランスで暗殺(報道では事故死)された事件は衝撃的だ。いかなる大富豪といえど、中国の闇を知りすぎた彼らの末路は、殺されるか投獄されるかなのである。

 王建の死は、中国の富豪たちに巨大な恐怖を与えた。むろんジャックとて例外ではない。ジャックは王建の死を聞いた際にひどく狼狽し、普段は吸わないタバコを立て続けに数本ふかして気を鎮めたと聞く。これはそのとき、彼と同席していた人物から聞いた話だ。

 ジャックのような人たちの進む先は天国か地獄だ。ほどほどの中庸という未来はありえない。ことに王建の殺害後、ジャックはもはや党内の盗国賊官僚どもが敷いた道を歩み続けるより他はない。彼が発表した「引退宣言」は、自身にスポットライトが当たることを少しでも避け、平和的に次の人生へ進むための策だ。

 また、彼がシンガポールに設立したジャック・マー基金に資産を移しているのも、カネを中国国内に置いておかないためだ(注・アリババ社は今年9月にこれを否定する声明を発表)。これらはいずれも、ジャックの恐怖と、その身がさして安全ではないことを示すものである。

◆王岐山の恥部を知る女

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