隅から隅まで探し回るペット探偵


「室内飼いの猫の場合、私たちが捜している最中に、自力で帰って来る場合もあるんです。そのために、玄関や窓を開けておく、ペットシーツなど自分のにおいがついたものは、猫たちにとっても安心材料になるので外に出しておく、猫のトイレの砂を入口にまいて様子を見るなど、帰って来やすい環境づくりをお願いします。その上で、正式にご依頼いただくかどうか、判断していただきます」

◆事細かな情報で居場所を推理

 正式に依頼が決まったら、今度は飼い主と直接会って、さらに細かな状況を聞く。

「事前にメールでペットの写真や年齢、性別、特徴などを送ってもらいます。そこからさらに直接会って、いなくなった時の状況や、人見知りなのか人懐っこいのか、インターホンが鳴っただけで隠れてしまうのか、保護された犬や猫なのか、生まれてからずっと室内飼いか、去勢・不妊手術は受けているかなど約40項目にわたる質問をします。たとえば、去勢や不妊手術を受けていない猫は冒険心もあって行動範囲が広いんです。そのように、少しでも手掛かりになる情報が得られるよう、細かく聞くようにしています」

 その後、ポスター100枚、ビラ1000枚の制作を行い、それを持って情報収集も兼ねて依頼主の家の近くでビラを配り、地域住民の許可を取って、掲示板などにポスターを貼る。

 さらに、住宅地図を細かくマーキングし、いなくなったペットの行動を推理していく。

「ポスターを貼った場所にマーカーで色をつけ、犬を飼っている家には“犬”と記入。猫よけに水の入ったペットボトルが置いてあるガレージなどには×をつけ、野良猫などにエサを与える“エサやりさん”がいるところにも色をつけます。エサやりさんのいる場所は、他の猫も集まるため、室内飼いの猫は怖がって近寄らないことが多いんです。これらの情報を書き込んで、居場所を絞り込んでいくのです」

 捜索は地道に足を使う。1匹につき1人のスタッフで、猫なら1日20km、犬なら25km以上を歩くこともある。時間帯は、犬は昼間だが、猫は日が暮れてからが本番だ。

◆深夜2時!猫発見

 今回、捜すのは白黒の毛を持った3才のメス猫のモモちゃん。遠藤さんはモモちゃんが好きなにおいという、マタタビを持って午後11時に捜索のために事務所を出た。

「昼間は人の行き来が多いため、室内飼いの猫は、ひっそりとどこかに隠れていて、人通りが少なくなった夜に行動を起こすことが多いのです」

 深夜2~4時は猫のゴールデンタイムといわれており、見つからない場合はこの時間帯にまで捜索が及ぶこともある。猫は側溝や、車の下に隠れていることもあり、奥まで捜すためには、ファイバースコープなども使うという。

 捜索1日目は、見つけられぬまま翌朝9時で一端終了。2日目も、深夜から捜索を開始し、朝方はビラ配りと聞き込み、夜は捜索を行うが見つからず。3日目。深夜2時に、いなくなった場所から150m圏内の住宅で、ついに捜していた猫と同じ特徴を持つ猫を発見!

 保護と思いきや、すぐには動かない。このまま遠くから様子を見つつ、まずは飼い主に連絡をするのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト