エキストラの楽しみは、作品に出演できることのほかに、俳優さんと会えることです。役柄やタイミングしだいで、目の前に俳優さんがいることも珍しくありません。もちろん、エキストラから声をかけることはご法度です。でも、気さくな俳優さんは、話しかけてくれたりもしますよ。
最近ですと、ドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)で、ある出演者の代役として出演しました。代役と言っても、後ろ姿だけですが…。年齢や背格好が近いということで、事務所が推薦してくれたようです。
当日、ぼくがロケ地の貸別荘の控室に入ったら、遠藤憲一さんや松重豊さんなど、メインのキャストさん6人が勢ぞろいしていて、ビックリしました。エキストラはぼくだけです。光石研さんや亡くなった大杉漣さんは特に場所が近くて。大杉さんが「お弁当どうぞ」と渡してくださって、恐縮しました。
ぼくが先に撮影を終えて帰ると、大杉さんが「もう帰るんですか? お疲れさまでした」と。声をかけてくださって、嬉しかったですね。皆さん、夜な夜な一緒にご飯や酒を飲む合宿生活だったようで、本当に仲がよくて、盛り上がっている会話を近くで聞けたのは、貴重な体験でした。
他の作品では、喫煙所で吉田鋼太郎さんとふたりだけになったとき、自然に世間話が始まったり…。ロケ地だと喫煙所は1か所だけ、スタッフも役者もエキストラも共通ということが多く、喫煙派の方々とは話せる機会が多いですね。