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肛門を貫く“膿のトンネル”の痔ろう、がん引き起こすことも

単なる痔ではないかも

 日本の成人のうち、痔は3人に1人が経験しているといわれる“国民病”だ。我慢して病院にかからない人も少なくないというが、軽く考えていると、そこに潜む、重大病を見逃してしまうかもしれない。

「痔ろう」というタイプの痔は、放置するとがん発症リスクを高めるという。『自分で痔を治す方法』(アチーブメント出版刊)の著者で、平田肛門科医院院長の平田雅彦医師が解説する。

「痔ろうとは、肛門内の『肛門腺』という組織が細菌に感染して化膿し、お尻の皮膚に向かって“膿のトンネル”ができて肛門の内外をつなげてしまう状態です。肛門腺に、下痢などで便が入り込んでしまうことで発症します。

 痔ろうを放っておくと、このトンネルが何本も枝分かれして『肛門管がん』を引き起こすことがある。トンネルを形成する肛門腺などを手術で取り除かなければ再発するため、このタイプの痔だと100%手術が必要になります」

 大病のリスクを見極めるには、自分で判断せずに、専門医の診断を受けることが必要だ。

「がんにかかわる痔なのかどうかは、専門医でないと判断できません。そうでない切れ痔・いぼ痔の場合は、医師の指示に従い食事や生活習慣の改善などの自助努力によって治るケースが多い。専門医から、個々人の痔のタイプにあった改善指導を受けましょう」(平田医師)

 患部が患部なだけに受診をためらいがちだが、重病の早期発見のためには、その“恥ずかしさ”は禁物だ。

※週刊ポスト2018年11月30日号

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