ビジネス

かつてありがたがられたゴーン容疑者の名言を噛みしめてみた

日産を追放されたカルロス・ゴーン容疑者

 日本が、いや世界が驚いた逮捕劇。コラムニストの石原壮一郎氏は、堕ちたカリスマ経営者の言葉に思いを馳せた。

 * * *
 いきなり頭をゴーンと、いやガーンと叩かれたような驚きのニュースでした。東京地検特捜部は19日、日産自動車の代表取締役会長であるカルロス・ゴーン氏らを逮捕。発表によると、自らの報酬を50億円少なく有価証券取引所に記載した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いだとか。

 ゴーン氏といえば、1999年に日産の最高経営責任者(CEO)に就任し、ピンチだった日産を立ち直らせたカリスマ経営者。ビジネスマンや経営者はその発言をありがたがり、ビジネス誌でも特集を組みまくって、彼から多くを学ぼうとしました。

 逮捕はされましたが、事件の真相や背景はまだわかりません。いろんな陰謀論も飛び交っています。水に落ちた犬を張り切って叩くような真似は、大人として慎みたいもの。これまで持ち上げてきたことにしみじみ思いを馳せつつ、彼が発した名言をあらためて噛みしめてみましょう。

 これまでの著作、インタビューにある数多くの名言の中から、今だからこそ大人としてより深く味わえそうなものをピックアップしてみました。

〈他人からプレッシャーをかけられたときよりも、自分で自分にプレッシャーをかけて働いている方が、人は遙かに大きなことをやってのける〉
〈素晴らしい計画は不用だ。計画は5%、実行が95%だ〉

 仮に報じられているような不正があったんだとしても、それはもしかしたら「自分で自分にプレッシャーをかけ」るためだったのかもしれません。そして、計画したことを着実に形にした実行力は、さすがのひと言です。

〈利益を上げようと努力しないで、どうやって利益を得ることができるでしょう? 魔法でも使わない限り、そんなことはできません〉

 彼がこの信念に基づいて、使ってはいけない魔法を使っていないことを祈りたいところです。いや、だとしても本人はきっと「努力」のつもりだったのでしょう。

〈悪い影響が出たらそれを是正するためにすぐに行動しないと、人々は極端な方向に走ってしまう〉

 もしゴーン氏が極端な行動に走ったのだとしたら、それは是正するための行動をすぐに起こさなかった周囲にも問題がありそうです。彼ほどの経営者ですから、このことを部下たちに教えたいという狙いがあった……いや、たぶんそういうわけじゃないですね。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン