なぜ、方針を転換してまで平和条約締結を急ぐのか。浮かび上がるのが「安倍ノート」の存在だ。

 安倍氏は自民党が下野していた時代に内政や外交の取り組み方の反省や“どうすればよかったか”を大学ノート数冊に綴った。そして、2012年に首相に再登板すると、ノートの反省をもとに側近やブレーンの意見を取り入れて長期政権に向けた政治目標、外交課題をどんな順番でどのように進めていくかの「政権工程表」を練り上げた──永田町ではよく知られるエピソードである。

◆吉田茂氏や佐藤栄作氏と並ぶ業績こそが…

 その重要な柱のひとつが「北方領土返還」だった。

「日露平和条約の締結、拉致問題の解決、最終的には『国防軍』創設の憲法改正までを2期6年で道筋をつけるという目標が政権構想の3つの最重要事項だった」(安倍ブレーン)

 実現すれば、講和条約で米軍による日本占領を終わらせた吉田茂・元首相や沖縄返還を成し遂げた大叔父の佐藤栄作・元首相らと肩を並べることができる。

 北方領土返還は、安倍首相の祖父の岸信介・元首相、父の安倍晋太郎・元外相ら安倍家の“悲願”でもある。晋太郎氏が領袖だった時代の清和会担当記者を長く務めた政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。

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