国際情報

「北方領土は2島で」 安倍首相は歴史に名を残したいだけか

返還交渉は進展するか(SPUTNIK/時事通信フォト)

 歴史上、戦争で領土を拡大した君主や政治家は数多いが、敗戦で奪われた領土を武力によらずに奪還した政治家はほとんどいない。それほど領土交渉は難しい。

「領土問題を解決して平和条約を締結する。私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つ」

 日露首脳会談後の記者会見で、安倍首相は突然、「今後3年以内の平和条約締結」を表明。在任中に北方領土返還を実現させることができれば、歴史に名を残すことができるだろう。そのために持論を曲げる道を選んだ。

「北方領土問題は4島一括返還が基本的な考え方。残念ながらロシア側に法的根拠に基づかない形で支配されている」

 安倍首相は政権に返り咲いた直後(2012年12月30日)、TBSの報道番組でそう言明していた。

 ところが、首相がプーチン大統領との交渉の基礎とするとした日ソ共同宣言(1956年)は、「平和条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡しする」という合意で、いわゆる「2島返還」が前提となる。安全保障研究者で笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄氏が語る。

「ロシアは歴史的に東方への領土拡大を続けてきた。手に入れた領土は手放そうとしない。プーチン政権の後はロシアの政治が混乱すると見られているから、安倍首相はプーチンが大統領のうちが領土返還交渉をまとめる最後のチャンスと判断したのでしょうが、難しいのはむしろ日本の国内世論をまとめることです。無理して平和条約を結んでも、2島返還には世論の激しい反発が予想されます」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン