では、松竹はどう主張しているのか。同社の演劇部はこう説明する。

「歌舞伎に最も深く関わり、その価値を守ってきたのは当社だという自負があります。昨今は歌舞伎と名乗りながら、あまりにいい加減なイベントが多い。詳しくない方がそういったものに触れて、歌舞伎を誤解されると非常に困る。最近は外国人の方からも注目され、東京五輪も迫る中、由々しき事態だと捉えていました。

 誤った歌舞伎イメージを与えないよう、どこかが管理しなければいけないと思い、商標登録という選択に至ったのです。悪意ある無関係の人間に先に商標を登録されることを防ぐ、という意味合いもありました。今後は当社と合意して、きちんと契約した上で、『歌舞伎』の使用を認める考えもあります」

 確かに松竹が近年の歌舞伎の発展に尽力してきたのは紛れもない事実だが、“知らざぁ言って聞かせやしょう”という“文化保存策”は、歌舞伎の将来にどのような影響を与えるのだろうか。

※週刊ポスト2018年12月14日号

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