特許庁のデータベースで確認すると、確かに松竹による「歌舞伎」の商標登録がなされていた。
2002年にかつお節や寒天、焼き海苔、肉、乳製品、カレーなど食品全般で登録。2016年4月には寝具、家具、化粧品、ガラス製品、調理器などについても歌舞伎の商標を登録している。
さらに同年6月には「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、演劇の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏」についても商標を出願。2018年3月には、爪切り、かみそり、スプーン、フォークなどの日用品で商標出願を行なっている(2016年以降の出願はいずれも審査中)。歌舞伎関係者が語る。
「商標出願の背景には、2020年の東京五輪とそれに伴う外国人観光客の増加が関係していると言われています。近年は海外観光客が見たら幻滅してしまいそうな“歌舞伎もどき”の興行が散見される。松竹には五輪前に歌舞伎が誤解されかねないイベントや商品を一掃したい狙いがあるようです」
◆「歌舞伎揚」も!?
「歌舞伎」を名乗ったり、公演することができないとなれば困る人々は多い。江戸時代から続く福島県の伝統芸能「檜枝岐歌舞伎」や、各地で行なわれる「子ども歌舞伎」はどうなるのか。プロレスラーの「ザ・グレート・カブキ」や、お菓子の「歌舞伎揚」の“処遇”も気になるところだ。商標に詳しいファーイースト国際特許事務所の平野泰弘弁理士が解説する。