ここでは「『(大迫)半端ないって』の方が流行ったじゃねーかよ。もっと言えば『モルゲッソヨ』こそ流行語だろ、オラ!」と私自身の主観を主張する気は一切ありません。あくまでも、その選考方法に疑問を述べたい。それは「データがない」ということです。プロ野球のMVPの場合は、今年のセ・リーグはそりゃあ、広島(現巨人)の丸佳浩で間違いないでしょう。なにせ打率.306、39本塁打、97打点、出塁率.468、長打率.627、OPS1.096って文句のつけどころがない大活躍です。同じ選考委員(記者)による投票でも、そこにはデータの裏付けがあるから納得感がある。
あとは、結局選考委員がピンと来るかどうかという話になってくるので、そこに納得感がないのでしょう。2015年には「アベ政治を許さない」「SEALDs」が入り、2016年には「保育園落ちた日本死ね」が入りました。2015年には「一億総活躍社会」も入り、安倍晋三首相が表彰されました(表彰式には参加せず)が、国民が総活躍している実態はないばかりか、「アベ政治を許さない」と並んでいるため、選考委員の顔ぶれも合わせ、政権批判の意図を感じた人も多かったです。
◆「このハゲー!」はノミネートすらされなかった
MVPの場合は、野球担当記者が投票するわけですが、彼らが「ボク、阪神ファンだから、今年阪神で一番活躍した糸井嘉男を1位に投票しようかな、ウヒヒ。2位はメッセンジャーにして、3位は福留孝介かな。うーん、今後の期待を込めて3位は大山悠輔でもいいかもしれないね、うふっ」なんてことをやったら、「あの謎の贔屓の引き倒し票を入れたヤツは○○スポーツの××のアホじゃねーの? あんなヤツ、来年から投票に参加させないでおこうぜ」なんて動きが出てもおかしくない。選者の感情を入れようにも「データ」の前にはフェアネスの観点からそこにブレーキがかけられるのです。
となれば、流行語大賞(的なもの)の納得性をより高めるにはどうするか。それは、データを駆使すればいいんですよ。日経新聞のデータベース「日経テレコン」から「記事件数」を引っ張り出し、検索エンジン・ヤフーの検索回数、さらにはツイッターでの言及数や世界のトレンドランキングで何位に入ったか、日本モニターによる「テレビで何時間オンエアされたか」などを総合し、有無を言わさぬ流行語を示せばいいのです。