視聴者の世代に近い中高年のモデルが、実際に商品を使ってみるという演出の通販番組も少なくないが、「見栄えを考えて、モデルは年齢の割に若々しく健康的な人を起用する傾向がある」(番組関係者)という以上、“自分と同年代が楽に使いこなせる”と安易に考えるのもよくない。

 実際に国民生活センターに寄せられた被害相談でも、「“初めて使った時”に怪我をした」という事例が少なくない。

 前述の2012年の報告書には、テレビショッピングで「ダイエット効果」を謳うフィットネス器具を購入した消費者が怪我をしたという事例が掲載されている。

 四つん這いになって両手でハンドルを握り、可動する台に両膝をついて腰をスイングする商品を50代女性が初めて使用した際のことだ。スイング幅を最大に設定すると、膝が台から外れて転倒、肋骨2本を折る大怪我をしてしまったのだ。

 国民生活センターの担当者によれば、「テレビショッピングで買った下半身を鍛えるための足踏み健康器具を使ったら、最初の1回で腰と背中を痛めたという事例があった」という。店頭で使い心地を試した上での購入であれば、避けられた事故かもしれない。

 前出・秋津氏は、「機械そのものに問題がなくても、例えばロデオマシンのような“乗って使用するタイプ”の器具の場合、昇り降りが上手くいかずに転んで骨折してしまうケースも少なくない」と指摘する。

 これについても、店頭で商品に触ったり、店員からの商品説明を聞いたりした段階で自分で「昇り降りが危ない」と気づけたかもしれないが、テレビ通販では、“自分が使っている時のイメージ”がわきにくく、トラブルにつながりがちだと考えられる。

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