ゴーン氏も当初の5年間は期待に応える活躍をしたと思う。「日産リバイバルプラン」を発表し、村山工場など車両組立工場や部品工場の閉鎖、グループ人員の2万1000人削減、購買コストを圧縮するための下請け企業半減といった大規模リストラを情け容赦なく断行し、2003年までに2兆1000億円という巨額の借金を完済してV字回復を成し遂げたのである。

 だが、その後の日産の好業績を支えた主要因はゴーン氏の経営手腕ではない。

 1990年代に経営破綻の危機に直面した日産が今日のように復活したのは、たしかに“奇跡”である。しかし、ゴーン氏は大規模リストラによるコストカットで日産の“負の遺産”を清算しただけであり、「GT-R」や5代目「フェアレディZ」などの人気車種を生み出して奇跡をもたらしたのは、もともと日産が持っていた技術力である。

 その象徴が、イギリスのサンダーランド工場(英国日産自動車製造会社)だ。

 私が初めて日産のコンサルティングを担当したのは、1980年代前半の石原俊社長時代である。当時、日産はイギリスで16%のシェアを持っていたため、マーガレット・サッチャー首相が石原社長にイギリスでの工場建設を要請し、用地選定や立ち上げ方などをマッキンゼーに依頼するようアドバイスした。それで私にお声がかかり、調査の結果、サンダーランドがベストと判断したという経緯がある。このサンダーランド工場が技術力と生産性が非常に高いヨーロッパ最大の生産拠点に成長し、優秀なイギリス人マネージャーを何人も輩出している。

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